WBAシニアコンサルタント 酒向 敦
「当社の製品、どこの国に輸出したらいいと思いますか?」と聞かれたことが何度もあります。当然、その製品(商品)の特徴やタイミングによっても変わってくるのはご存じの通りです。
まず、既に他社が輸出し現地で販売されている製品(商品)が輸出しやすいことは確かです。日本の輸出規制や、対象国の輸入規制・各種許認可等をクリアしている事実があるからです。但しその市場が既に競合で溢れていて、販売が難しい可能性があります。現状の日本と海外諸国との取引き状況を見てみます。
1. 現在の状況について
(1) 日本から海外への投資状況
① 2022年の金額ベースでは、米国、EU、ASEANの順になっています。国ごとのデータになっていませんが、米国への投資が圧倒的に大きいことがわかります。
(出典:JETRO HP「直接投資統計日本の直接投資」より)
② 業種別では、金融・保険業、販売・小売業ついで製造業となっています。
(出典:JETRO HP「直接投資統計日本の直接投資」より)
(2) 2022年の輸出状況
我が国の 2022年の輸出は98.2兆円で、商品別では、自動車、鉱物性燃料、鉄鋼などが増加しています。地域別では、アジア向けが55.4兆円(同+15%)となり、全体の56.4%を占めています。また国別では中国向けが19.0兆円 (同+6%)となり、米国向けの18.3兆円(同+23%)を上回り、3年連続でわが国最大の輸出相手国となっています。ついで韓国、台湾、香港、タイとなっています。
(出典:JFTC 日本貿易会 2023 日本貿易の現状より)
2. 今後の可能性がある国について
(1) 既存の投資・輸出先国
やはりアジア圏と米国がすでに様々な製品(商品)での実績があるのが、中小企業にとっても、手続きや販売などの規制をクリアしやすいことは確かです。但し、すでに市場があるケースが多く、競合との差別化した販売戦略・現地パートナー選びが重要になってきます。
(2) これから発展が予想されている国
これは筆者が見聞きした話からの推測ですが、インド、アフリカ、中東の可能性が高いでしょう。市場が大きくなるとの期待で、参入者が多くなってくるということは、該当国も外資投資・製品の受け入れに関わる参入障壁を低くしてくると思われ、チャンスがあると思われます。早いうちから取り組むことによって、初期参入者のメリットが期待できます。